一般社団法人がんキャリア社会連携センターは、この度、株式会社田中組(本社:新潟県新潟市、代表取締役:田中 康太郎様)と連携し、がん治療と仕事の両立を支援する「がん復職支援プログラム」の策定をサポートいたしました。
■背景:経営課題としての「治療と仕事の両立」
建設業において「人財」は最大の資産であり、従業員の健康を守り、長く活躍し続けられる環境を整備することは、企業の持続的成長に不可欠です。 株式会社田中組様は、以前より「健康経営」や「働きやすい職場づくり」に積極的に取り組まれており、従業員の健康とキャリアを守ることを重要な経営課題と捉えていらっしゃいました。 こうした中で、がんの「予防・早期発見」から「治療と仕事の両立」までを包括的にサポートする体制を構築するため、当法人と共に具体的なプログラム策定に取り組む決断をされました。
■当法人のサポート内容
当法人は、代表理事(白井)自身のがんサバイバーとしての経験と、これまで培ってきた両立支援の知見に基づき、以下のプログラム策定をサポートさせていただきました。
- 復職支援フローの明確化
- 休職から復職に至るまでの「いつ」「誰が」「何をするか」を明確化。
- ご本人、会社(人事・上司)、そして当法人の三者が円滑に情報連携できる仕組みづくり。
- 管理職・同僚の理解促進
- がん治療に関する基礎知識(通院の頻度、副作用など)や、両立支援に必要な配慮について学ぶ社内勉強会を企画・実施。
- 特に、放射線治療で毎日半休が必要になるケースなど、治療の具体的な事例を共有し、現場での柔軟な対応(時間単位休暇の活用など)への理解を深めました。
- 復職後のフォローアップ体制
- 段階的な復職(時短勤務、業務内容の調整)プランの策定。
- 復職後の定期的な面談と、体調変化に応じた柔軟な対応体制の構築。
- がん早期発見体制の強化(共同構築) 今回のプログラム策定では、がんの早期発見体制の強化についても共同で取り組みました。 株式会社田中組様には、「全員の健康を守ることが会社の責任」との素晴らしい理念のもと、法的義務のないパート従業員にも年1回の健康診断を実施されている実績がありました。 当法人からは、この既存の優れた取り組みを両立支援プログラムの重要な柱として正式に位置づけ、がん検診の受診率向上施策と連動させる形で、予防・早期発見の体制をより強固なものにする仕組みを共に構築させていただきました。
- 経済的セーフティネットの整備支援
- 治療中の経済的な不安を軽減し治療に専念できるよう、「従業員が病気になった際の長期療養を支える医療保険」の導入・活用をプログラムに組み込み、セーフティネットの構築を支援しました。
■今後の展望
当法人は、株式会社田中組様が構築されたこの先進的なプログラムが、新潟県内、そして全国の建設業における「治療と仕事の両立」のモデルケースとなることを確信しております。
今後も継続的にサポートさせていただくとともに、こうした「誰もが働きやすい職場づくり」の輪を、会員企業の皆様と共に広げてまいります。

